金のアクセサリーを買ったけど、これって本物?
鉄に金メッキした偽物とかって、見分けられるものなの?
そんな不安を感じたことはありませんか?
見た目が似ている金と鉄ですが、その重さには決定的な違いがあります。この物理的な特性を理解することが、あなたの資産を偽物から守るための最も基本的な知識となるのです。
この記事では、単に「金は重い」で終わらせません。「なぜ重いのか」を原子レベルで解き明かし、磁石を使った簡単な判別法から、プロが使う最新の鑑定技術まで、科学的根拠に基づいて偽物を見抜く方法を徹底解説します。
この記事は、貴金属の物性データや専門機関の情報を基に、科学的な視点から「金と鉄の重さ」を深掘りします。
この記事でわかること
- 金と鉄の比重が「2.5倍」も違うという事実
- なぜ金が鉄より圧倒的に重いのか、その科学的な理由
- 自宅の磁石一つで鉄の偽物を見抜く簡単な方法
- 最強の偽物「タングステン」が比重測定だけでは見抜けない理由
- プロが使う超音波検査の仕組み


金と鉄、比重(密度)はどっちが重い?衝撃の2.5倍差
金と鉄って、具体的にどれくらい重さが違うんですか?
結論から言うと、同じ体積なら金は鉄の約2.5倍も重いんです。この差を知っておくだけでも、偽物に対する感覚が鋭くなりますよ。
ここでは基本となる「比重(密度)」の数値を比較し、その重さの違いを具体的に見ていきましょう。
金属の比重ランキングTOP5と金・鉄の位置
比重(密度)とは、物質がどれだけ詰まっているかを示す数値です。この数値が高いほど、同じ体積でも重くなります。
【比較表】主要金属の比重(密度)
| 順位 | 金属名 | 比重(密度) |
|---|---|---|
| 1位 | オスミウム | 22.57 g/cm³ |
| 2位 | イリジウム | 22.56 g/cm³ |
| 3位 | 白金(プラチナ) | 21.45 g/cm³ |
| 4位 | 金(ゴールド) | 19.32 g/cm³ (出典: StoneX Bullion) |
| 圏外 | 鉄(アイアン) | 7.87 g/cm³ (出典: Wikipedia) |
このように、金は鉄の約2.5倍の密度を持つことが分かります。鉄も決して軽い金属ではありませんが、金とは圧倒的な差があるのです。
もし同じ大きさのキューブなら?重さシミュレーション
この比重の違いをより直感的に理解するために、もし「同じ大きさのキューブ」があったとしたら、どれほどの重さになるかシミュレーションしてみましょう。
【同じ体積100cm³のキューブでの比較】
- 金のキューブ(体積100cm³)
- 計算式:19.3 g/cm³ × 100 cm³ = 1,930 g(約1.93 kg)
- → 2Lペットボトル約1本分の重さ。見た目からは想像できないずっしり感です。
- 鉄のキューブ(体積100cm³)
- 計算式:7.87 g/cm³ × 100 cm³ = 787 g(約0.79 kg)
- → 500mlペットボトル約1.5本分の重さ。こちらも決して軽くはありません。
同じ体積なのに、金は鉄の約2.5倍も重い。実際に持ってみると、この違いは一目瞭然でしょう。この感覚が、簡単な偽物を見抜く第一歩となります。
【このセクションのポイント】
- 金の比重は鉄の約2.5倍(金19.3g/cm³ vs 鉄7.87g/cm³)。
- 同じ大きさの塊なら、金は鉄より圧倒的に重い。
- この重さの差は、金製品の簡易的な真贋判定に役立つ。
なぜ金は鉄より重いのか?原子レベルの2つの秘密
なぜ、そんなにも重さが違うんですか?鉄も十分重いのに不思議です。
それは、金属を構成する「原子」のレベルに秘密があるんです。金が鉄より圧倒的に重い理由には、2つの科学的な要因が隠されています。
金の「ずっしりとした重さ」は、その高い資産価値を物理的に裏付ける重要な特性です。ここでは、その重さの秘密を原子レベルで解き明かしましょう。
秘密1:原子そのものが重い(原子量)
物質の重さを決める最も基本的な要素は、それを構成する原子1つあたりの重さ(原子量)です。
- 金(Au)の原子量:約197
- 鉄(Fe)の原子量:約55.85 (出典: Hypertextbook)
このように、金は原子1つ1つが鉄の約3.5倍も重いのです。金製品は、まさに「重い部品」でできている、と考えるとイメージしやすいでしょう。
秘密2:原子の並び方が高密度(結晶構造)
原子が重いだけでなく、その原子がどのように空間に「並び詰まっているか」も、物質全体の密度に大きく影響します。
【用語解説】結晶構造
原子が規則正しく並んだ構造のこと。主なものに、面心立方格子(FCC)と体心立方格子(BCC)があります。
金は「面心立方格子(FCC)」構造:
原子が最も密に詰まることができる構造の一つです。原子充填率は約0.74と非常に高い数値を示します。(出典: NDE-Ed.org)
鉄(常温のα-鉄)は「体心立方格子(BCC)」構造:
FCCと比較すると、原子間にやや隙間が多い構造です。原子充填率は約0.68とFCCより低い数値です。(出典: University of Babylon)
つまり、金は「1つ1つの原子が重い」上に、「その重い原子が非常に効率よく、ぎっしりと詰まっている」という二重の理由から、鉄よりもはるかに高い密度、つまり「ずっしりとした重さ」を持つ金属となるのです。
【金の重さの秘密 まとめ】
- 金は鉄の約3.5倍も重い原子で構成されている。
- 金の結晶構造(FCC)は、原子を高密度に詰め込むことができる。
- これら2つの要因が、金特有の「重さ」と「高い資産価値」を物理的に裏付けている。
1分でできる!磁石を使った鉄の偽物鑑定法
それなら、磁石を使って偽物かどうか見分けられますか?家に磁石ならありますよ!
はい、鉄が使われている偽物であれば、磁石で簡単に見分けられます。金と鉄の「磁性」の違いは、非常に分かりやすい鑑定ポイントになりますよ。
ここでは、誰でも簡単に試せる磁石を使った鑑定法と、その限界について解説します。
金の「反磁性」と鉄の「強磁性」とは?
物質が磁石にどう反応するかを示す性質を「磁性」と呼びます。金と鉄は、この磁性が大きく異なります。
- 鉄は「強磁性体」:磁石に非常に強く引きつけられる性質を持っています。
- 金は「反磁性体」:強力な磁石(ネオジム磁石など)を近づけても、わずかに反発するか、ほとんど反応しない性質を持っています。(出典: SD Bullion)
この違いを利用すれば、金メッキの下に鉄が隠れている偽物かどうかを、ご家庭でも簡単に調べることができます。
鑑定手順:強力なネオジム磁石を近づけるだけ
強力なネオジム磁石(100円ショップなどでも入手可能)と、調べたい金製品を用意します。
金製品を平らな場所に置き、ネオジム磁石をゆっくりと近づけます。
- もし磁石が金製品に強く引きつけられた場合:その金製品は鉄やニッケルなどの強磁性金属を含んでいる可能性が極めて高く、偽物である疑いが濃厚です。
- ほとんど反応しない、またはごくわずかに反発する程度の場合:純金や金合金である可能性があります。
【磁石テストの注意点】
- 磁石テストは、鉄を含む偽物に対しては非常に有効な判別方法です。
- しかし、銅や真鍮、ステンレスといった非磁性の金属で作られた偽物や、後述するタングステンの偽物には通用しません。
- あくまで「鉄製の偽物を除外するための一次スクリーニング」として活用し、過信はしないようにしましょう。(出典: The Safe House)
【このセクションのポイント】
- 金と鉄は磁性の違いで簡単に見分けられる。
- 強力なネオジム磁石を使えば、自宅で手軽に簡易鑑定が可能。
- 磁石テストは、あくまで鉄製の偽物を排除する一次チェックと心得ること。
【偽物の王様】タングステンはなぜ金と間違われる?


磁石テストだけじゃダメなんですね…では、どうすれば偽物を見分けられますか?
そうなんです。磁石にも反応せず、しかも重さまで金とほとんど同じという、非常に厄介な偽物が存在するんですよ。それが「タングステン」です。
ここでは、「偽物の王様」とも呼ばれるタングステン偽造の巧妙さと、なぜそれが比重テストだけでは見抜けないのかを科学的に解説します。
驚異の比重!金とほぼ同じ19.25g/cm³
タングステンが偽造金塊の芯材として悪用される最大の理由は、その比重が金と極めて近いことにあります。
- 金の比重:約19.32 g/cm³
- タングステンの比重:約19.25 g/cm³ (出典: Alromaizan)
この差はわずか0.07g/cm³。つまり、同じ大きさならタングステン製の塊は、金製のものとほぼ同じ重さになるのです。このため、金メッキを施されたタングステン芯の金塊は、重さやサイズを測るだけの簡易的な鑑定では、本物と区別することができません。
だから「別の物性」で見る!音速と電気伝導率の違い
比重が同じなら、どうやってタングステン偽造を見抜くのでしょうか?鍵となるのは、比重以外の「別の物理特性」です。
音速(音の伝わる速さ)
- 金中の音速:約3240 m/s
- タングステン中の音速:約5220 m/s
- 金とタングステンでは、音の伝わる速さが約1.6倍も異なります。
この違いを利用するのが「超音波検査」です。金塊に超音波を当て、その反射時間や内部の伝播速度を測定することで、内部にタングステン芯が隠れていないかを見抜くことができます。(出典: Gold & Co.)
電気伝導率(電気の通しやすさ)
- 金:約44〜45 MS/m(非常に高い導電率)
- タングステン:約18〜19 MS/m(金の半分以下)
- 金とタングステンでは電気の通しやすさも大きく異なるため、金塊の表面や内部の電気伝導率を測定することで、タングステンが混入しているかどうかを判断できます。(出典: The Safe House)
このように、比重だけでは見抜けないタングステン偽造も、音速や電気伝導率といった物性の違いを測定する高度な検査技術を用いれば、見破ることが可能になります。
【タングステン偽造のポイント】
- タングステンは金と比重がほぼ同じで、磁石にも反応しにくいため、簡易鑑定では見抜けない。
- 鑑定には超音波検査や電気伝導率測定といった、比重以外の物理特性を測る専門技術が必要。
SNSで「比重テストだけじゃダメなんだ」と驚く声が多いように、金とタングステンの物性の違いは、偽造対策の最前線を示しています。
単一のテストに頼らず、多角的な視点を持つことが、現代の金投資家には求められますね。
金の偽物に関するよくある質問(FAQ)
- Q1: 金と鉄の重さは、持っただけで分かりますか?
-
A1: はい、同じ大きさであれば、ほとんどの人がその違いを体感できます。金はずっしりと手に沈むような独特の重さがあり、鉄の約2.5倍の密度があります。
- Q2: 磁石テストが効かない偽物もあるんですか?
-
A2: はい、あります。銅や真鍮、そして最も厄介なタングステンなど、磁石に引きつけられない金属で作られた偽物も存在します。磁石テストは、あくまで鉄製の偽物を見抜くための一つの手段です。
- Q3: なぜタングステンが偽造によく使われるのですか?
-
A3: 金と比重(密度)がほぼ同じだからです。重さやサイズを測る鑑定方法では見破ることが難しいため、精巧な偽造金塊の芯材として悪用されることがあります。
- Q4: 素人が偽物を見分けるのは不可能ですか?
-
A4: 鉄製の簡単な偽物なら磁石で、比重が大きく違う金属ならサイズと重さの違和感で見抜ける可能性はあります。しかし、タングステンのような巧妙な偽物を100%見抜くのは困難なため、高額な取引の際は専門家による鑑定が不可欠です。
- Q5: 鉄に金メッキした製品は見分けられますか?
-
A5: はい、見分けられる可能性が高いです。中身が鉄であれば、強力な磁石に引きつけられます。また、同じ大きさの本物の金製品と比べれば、明らかに軽いため、重さでも判断できます。
- Q6: 最も信頼できる鑑定方法は何ですか?
-
A6: 一つの方法に頼るのではなく、複数の方法を組み合わせることです。プロは比重、磁性、超音波、電気伝導率、蛍光X線(XRF)など、様々な物理的特性を多角的に分析して真贋を判断します。
まとめ:科学の目で見る「金と鉄の重さ」と資産防衛
本記事では、金と鉄の重さの違いから、偽物を見抜く科学的な方法までを解説しました。
「金 鉄 重さ」の重要ポイント総復習
- 比重の違い
- 金(約19.3)は鉄(約7.87)の約2.5倍重い。この差は偽物を見抜く基本。
- 重さの根源
- 金の「重い原子」と「高密度な結晶構造(FCC)」が、鉄との圧倒的な重さの違いを生む。
- 簡易鑑定法
- 鉄製の偽物は、磁石に強く引きつけられる「強磁性」の性質を利用すれば簡単に見分けられる。
- 最強の偽物「タングステン」
- 金と比重がほぼ同じなため、重さや磁石では見抜けない。
- 音速や電気伝導率の違いを利用した専門的な検査が必要。
- 最も重要な心構え
- 簡易鑑定は万能ではないと理解し、高額な金製品は必ず信頼できる専門家や機関を通じて鑑定・購入することが、資産を守る上で最も重要。




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