最近、金価格が上がっているけど、なぜ?昔から価値があるのは知っているけど、価格変動の理由がよくわからないんだよな…
そのような悩み、お持ちではないですか?ニュースで「金価格の歴史的円建て最高値」と聞いても、なぜ今、金の価値がこれほど注目されているのか、その歴史的背景まで理解している人は少ないかもしれません。
この記事では、金価格5000年の歴史を壮大な物語として紐解き、特に現代の金価格を動かす最重要ファクターである「ブレトン・ウッズ体制の崩壊」から「実質金利」との関係まで、どこよりも分かりやすく徹底解説します。
世界ゴールドカウンシル(WGC)や国際通貨基金(IMF)の公表データ、そして実際の投資家のリアルな体験談を基に、あなたが金の本質的な価値を理解し、長期的な視点を持つためのお手伝いをします。
この記事でわかること
- なぜ金(ゴールド)に普遍的な価値があるのかがわかる
- 5000年の金価格の歴史と、3つの重要な時代区分
- 【最重要】ニクソン・ショックが現代の金価格にもたらした決定的影響
- プロが最重要視する「実質金利」と金価格のシンプルな関係性
- リーマンショックなど、歴史的危機で金がどう動いたかの実例
- 歴史から学ぶ、今後の金との賢い付き合い方
なぜ金(ゴールド)は価値があるのか?5000年の歴史が証明する3つの本質
そもそも金って、どうしてそんなに価値があるんですか?単なる金属なのに…
良い質問ですね!金が5000年以上も人類を魅了し続けているのには、他の金属にはない明確な理由があるんです。
金が普遍的な価値を持つ背景には、主に3つの本質的な特性があります。これらは、金が単なる貴金属に留まらず、時代や国境を超えて「価値の保存手段」として機能し続ける所以です。
価値の本質1:希少性 – 地球上に存在する総量
金は、地球上に存在する量が限られた希少な金属です。その採掘量には限界があり、無限に増やすことはできません。この絶対的な希少性が、金の価値を支える根源の一つとなっています。
価値の本質2:普遍性 – 人類共通の価値観
人類は古くから金を装飾品や権力の象徴として用いてきました。その輝きや美しさ、加工しやすさから、文化や文明が異なっても、金は普遍的な魅力を持つと認識されてきました。この人類共通の価値観が、金への信頼感を醸成しています。
価値の本質3:不変性 – 錆びず、腐らない物理的特性
金は化学的に非常に安定した金属であり、錆びたり腐食したりすることがありません。熱や電気の伝導性にも優れ、加工してもその性質を失わない「不変性」を持っています。この特性により、金は長期的な価値の保存に適しており、いざという時の資産として信頼されてきました。
金が持つ3つの本質的な価値を深掘りしてみて、改めてその普遍性に驚きました。特に「不変性」という物理的な特性が、どれだけ人々の信頼を勝ち得てきたかを考えると、現代の不安定な世界情勢においても、金が持つ意味は色褪せないと感じます。
金の価値を支える3つの本質まとめ
- 希少性:地球上に存在する量が限られており、無限に増やせない。
- 普遍性:文化や国を問わず、美しさや輝きに共通の価値が認められている。
- 不変性:錆びたり腐ったりしない物理的な強さが、長期保存の信頼を生んでいる。
【3つの時代で読み解く】金価格5000年の歴史と役割の変化
金ってずっと同じように価値があったわけじゃないんですよね?時代によって役割が変わったって聞きました。
はい、その通りです!金の役割は、人類の歴史や経済システムの変化に合わせて大きく3つの時代に分けられます。それぞれ見ていきましょう。
金と人類の歴史は長く、その役割や価格決定メカニズムは時代とともに大きく変遷してきました。ここでは、5000年にも及ぶ金価格の歴史を3つの時代に区分し、それぞれの特徴と金の役割の変化を解説します。
第1期(〜19世紀):神々の装飾品から「貨幣」へ
古代エジプト・ローマにおける金の役割
古代文明において、金は王族や神官の装飾品、権力の象徴として用いられました。その美しさと希少性から、神聖なものとして扱われることが多かったのです。やがて、その価値の普遍性から、物々交換の媒体や富の貯蔵手段としての役割も担うようになります。
大航海時代とゴールドラッシュ
15世紀以降の大航海時代には、新大陸で大量の金銀が発見され、ヨーロッパにもたらされました。19世紀にはアメリカなどでゴールドラッシュが起こり、金の採掘が加速。こうした動きは、金が国家の富の源泉、そして国際的な決済手段としての地位を確立する下地となります。
第2期(〜1971年):国家が価値を決めた「金本位制」の時代
イギリスで始まった金本位制
19世紀には、イギリスを中心に「金本位制」が確立されます。これは、各国が自国の通貨を一定量の金と交換することを保証し、通貨の価値を金に裏付ける制度です。これにより、為替レートは安定し、国際貿易が発展しました。
第一次・第二次世界大戦と金
しかし、二度の世界大戦や世界恐慌を経て、各国は戦費調達や経済対策のために金の流出を制限したり、金本位制から一時的に離脱したりすることを余儀なくされます。特に第二次世界大戦後は、米ドルが国際経済の中心に据えられる「ブレトン・ウッズ体制」へと移行しました。
第3期(1971年〜):市場が価値を決める「変動相場制」の時代
ニクソン・ショックによる大転換
1971年のニクソン・ショックによって、ドルと金の兌換が停止され、ブレトン・ウッズ体制は崩壊します。これにより、金価格は固定相場制から解放され、市場の需給によって価格が決定される「変動相場制」へと移行しました。
金融商品としての金の誕生(先物、ETF)
変動相場制への移行は、金を投資家にとって新たな金融商品として位置づけることになります。金価格に連動する先物取引や、より手軽に金に投資できる金ETF(上場投資信託)などが登場し、金は「価値の保存」だけでなく「投資対象」としての側面を強めていきました。
金価格の歴史は、世界経済の歴史と深く結びついていることを改めて実感します。特に、金本位制から管理通貨制度への移行期は、通貨の価値がどのように決定されるのかという、現代にも通じる重要な問いを提起しています。
金価格の5000年史まとめ
- 第1期(貨幣化):装飾品から始まり、大航海時代を経て国際的な決済手段へ。
- 第2期(金本位制):通貨の価値を金に裏付ける「金本位制」が確立された安定の時代。
- 第3期(変動相場):ニクソン・ショックを境に、市場の需給で価格が動く現代の形へ。


今さら聞けない「ブレトン・ウッズ体制」とは?金が1オンス35ドルに固定された時代
ブレトン・ウッズ体制って、よく聞くけど結局なんだったんですか?金とどう関係があるんでしょう?
ブレトン・ウッズ体制は、第二次世界大戦後の世界経済秩序を築いた重要な制度です。そして、その核心には「ドルと金」があったんですよ。
ここでは、第二次世界大戦後に構築された「ブレトン・ウッズ体制」がどのようなものだったのか、そして金がその体制の中でどのような役割を担っていたのかを解説します。この体制は、現代の金価格の歴史を理解する上で避けては通れない重要な転換点となります。
ブレトン・ウッズ体制が生まれた背景(第二次世界大戦後の秩序)
第二次世界大戦によって荒廃した世界経済を立て直し、国際的な金融安定を図るため、1944年にアメリカのブレトン・ウッズで国際会議が開催されました。この会議で、戦後の国際通貨制度の骨格が決定され、それが「ブレトン・ウッズ体制」と呼ばれることになります。
「金ドル本位制」の仕組みを分かりやすく解説
ブレトン・ウッズ体制の中心は、「金ドル本位制(ドル本位制)」と呼ばれる仕組みでした。
各国通貨は「ドル」に、ドルは「金」に固定
この体制下では、各国通貨は一定のレートで米ドルに固定され、その米ドルだけが、アメリカ政府によって1オンスあたり35ドルという固定価格で金と交換されることが保証されていました。つまり、「各国通貨はドルに、ドルは金に」という二段階の固定相場制が採用されていたのです。
【金本位制 vs ブレトン・ウッズ体制 vs 管理通貨制度】
| 観点 | 金本位制(19〜20世紀前半) | ブレトン・ウッズ体制(1944〜71年) | 管理通貨制度(1970年代以降) |
|---|---|---|---|
| 価値の基準 | 各国通貨を一定量の金で交換 | ドルを金1オンス=35ドルに固定し、各国通貨はドルに固定 (出典: gold.org) | 金との交換なし。通貨価値は金融政策・信認に依存 (出典: gold.org) |
| 金価格の決まり方 | 各国が定める公式価格(自由市場は限定的) (出典: imfsite.org) | 公式価格35ドルで固定。IMFが売買と準備のルールを管理 (出典: gold.org) | ロンドンやNYなど市場で需給により決定。インフレ・実質金利・有事が主要ドライバー (出典: longtermtrends.com) |
| 金の役割 | 通貨そのもの・最終決済手段 | 国際通貨システムの「錨」・準備資産 | 投資資産・インフレヘッジ・準備資産の一つ (出典: imf.org) |
| 中央銀行の行動 | 準備金として大量保有 | 出資金の一部を金で払い込み、公式価格で取引 (出典: imf.md) | 1970〜2000年代に売却、その後は新興国中銀を中心にネット買いに転換 (出典: gold.org) |
一般人は金に交換できない「対外金兌換」の意味
ブレトン・ウッズ体制下での「金兌換」は、一般の個人や企業がドルを金に交換できるものではありませんでした。これは、あくまで各国の中央銀行が、自国のドルをアメリカ政府に提示すれば金に交換できるという「対外金兌換」の原則でした。この点が、かつての金本位制と大きく異なる特徴です。
多くの人が「金本位制」と聞くと、誰もが自由に金と紙幣を交換できた時代を想像しがちですが、ブレトン・ウッズ体制はその点で大きな違いがあったことを改めて認識しました。
この「一般人は金に換えられない」という仕組みが、のちのニクソン・ショックにつながる伏線だったと言えるでしょう。
固定相場時代の仕組みまとめ
- 金ドル本位制:米ドルだけが金と交換でき、他の通貨はドルに固定されていた。
- 固定価格:当時は「金1オンス=35ドル」と厳格に決められていた。
- 中央銀行の役割:一般人は金に交換できず、各国の中央銀行だけが交換できる「対外金兌換」だった。
【金歴史の最重要転換点】ニクソン・ショックとは何か?
ブレトン・ウッズ体制がうまくいっていたなら、なぜ金との交換が停止されたんですか?
残念ながら、世界経済の変化に体制が追いつかなくなってしまったんです。特にアメリカが抱えていた問題が大きかったんですよ。
1971年8月15日、当時のニクソン米大統領は、ドルと金の兌換停止を突然発表しました。この出来事は「ニクソン・ショック」と呼ばれ、戦後の世界経済、そして金価格の歴史において最も重要な転換点の一つとなります。
なぜ米国は金とドルの交換を停止せざるを得なかったのか
米国がドルと金の兌換停止という劇的な決断を下さざるを得なかった背景には、複数の経済的要因が複雑に絡み合っていました。
理由1:ベトナム戦争による財政悪化
1960年代後半、米国はベトナム戦争への巨額の戦費投入や、国内の社会政策(グレート・ソサエティ)による財政拡張を続けていました。これにより、米国の財政は悪化し、ドルが大量に供給されることになります。
理由2:ドルの大量流出と金準備の減少(ドル危機)
戦争費用や対外援助によって、海外には大量のドルが流出しました。この「過剰ドル(dollar overhang)」と呼ばれる状況の中、西ドイツや日本が貿易黒字を拡大し、アメリカは慢性的な経常赤字に直面します。
結果として、「ドルに対する信認の低下」が起こり、各国が保有するドルを金に交換しようとする動きが強まりました。FRBの解説によれば、金準備ではドルとの交換要求を支えきれない「金の取り付け(gold run)」リスクが高まったのです (出典: federalreservehistory.org)。
ニクソン・ショックは、単なる一国の政策変更ではなく、当時のアメリカが抱えていた経済的な矛盾が頂点に達した結果だと考えると、現代の財政問題にも通じる部分があると感じます。
特に「過剰ドル」が問題視されたという歴史は、現代の量的緩和の出口戦略を考える上でも示唆に富んでいるのではないでしょうか。
ニクソン・ショックが金価格に与えた衝撃
ニクソン・ショックは、金価格の決定メカニズムに根本的な変化をもたらしました。
1オンス35ドルの「縛り」からの解放
ドルと金の兌換停止により、金価格は長年維持されてきた「1オンス=35ドル」という固定レートの縛りから解放されました。これにより、金は市場の需給によってその価値が決定されるようになります。
金価格が市場で決まる時代へ
変動相場制への移行は、金が国家間の決済手段というよりも、市場参加者による需給や、世界経済の動向、地政学リスクなどによって価格が変動する新たなフェーズに入ったことを意味します。この変革こそが、現代の金投資を理解する上での出発点となります。
【ニクソン・ショック後の金価格推移(1971–1973年近似)】
- 1971年初: 公式価格は1オンス35ドル。自由市場では40ドル前後。
- 1971年末: スミソニアン合意でドル切り下げ。公式価格は38ドルに。自由市場は40〜44ドル程度。
- 1972年: ドル切り下げとインフレ懸念から金価格は上昇し、年末にかけて60〜70ドル台。
- 1973年: 固定相場制が完全に崩壊し、金は100ドルを超える水準へ。年末には120ドル近辺に達する (出典: elibrary.imf.org)。
ニクソン・ショックの前後で、金が単なる金属から、投資家が値動きを追う「金融商品」としての性格を強めたことに改めて驚かされました。特に、ドルとの兌換停止という劇的な発表が、その後の世界の金融市場に与えた影響は計り知れないと感じます。
ニクソン・ショックの衝撃まとめ
- 背景:戦費拡大などで米国の金準備が底をつき、ドルと金の交換約束が守れなくなった。
- 決断:1971年、ニクソン大統領が金兌換を停止。ブレトン・ウッズ体制が崩壊した。
- 結果:金は市場価格で自由に動く「金融商品」へと姿を変え、変動相場制の時代へ突入した。
なぜプロは最重要視するのか?「実質金利」と金価格のシンプルな関係
金価格って、結局何に一番影響されるんですか?よく「実質金利」って聞くけど、難しそうで…
ご安心ください。プロが最も注目する「実質金利」と金価格の関係は、実はとてもシンプルなんです。これを理解すると、金価格の変動理由がスッと腹落ちしますよ。
ニクソン・ショック以降、金価格は市場の需給によって変動するようになりましたが、その中でも最も重要な決定要因の一つとしてプロの投資家が注目するのが「実質金利」です。ここでは、実質金利の基本的な仕組みと、それが金価格の歴史にどう影響を与えてきたかを解説します。
「実質金利」とは?サルでもわかる計算方法
名目金利とインフレ率の関係
実質金利とは、銀行預金や国債などの「名目金利」から、「インフレ率(物価上昇率)」を差し引いたものです。
【用語解説】実質金利
名目金利からインフレ率(または期待インフレ率)を差し引いた金利。実際にお金の購買力がどれだけ増えるかを示す指標で、実質金利が低いほど金など無利息資産が相対的に有利になる (出典: chicagofed.org)。
【実質金利の計算例】
- 名目金利 1.6% (例:10年国債利回り)
- 期待インフレ率 2.7%
この場合、実質金利 = 1.6% − 2.7% = −1.1% となります。名目上は利息を受け取っていても、インフレによって購買力が1.1%減少している状態です (出典: aheadoftheherd.com)。
実質金利が「マイナス」になる状態とは
実質金利がマイナスであるということは、お金を銀行に預けたり国債を買ったりしても、インフレによる物価上昇でお金の価値が目減りしてしまう状態を意味します。つまり、「お金を寝かせているだけで損をする」という状況です。
なぜ実質金利が下がると金価格は上がるのか?
実質金利と金価格には、過去のデータから強い負の相関(逆相関)が見られます。実質金利が低下すると金価格は上昇しやすく、逆に実質金利が上昇すると金価格は下落しやすい傾向にあります。
答えは「機会費用」- 無利息資産である金の特性
この関係性を理解する鍵は、金が「利息や配当を生まない無利息資産」であるという点です。
実質金利が高い時
預金や国債で「インフレを上回る確実なリターン」を得られるため、投資家は金よりも利回り資産を好みます。この時、金を持つことは「本来得られるはずだった利回り」を放棄する「機会費用」が大きくなるため、金価格には下落圧力がかかりやすいのです。
実質金利がゼロ〜マイナスの時
利回り資産を持っても購買力が目減りするため、「インフレから価値を守る手段」として金が相対的に魅力を増します。この時、金を持つ機会費用は小さくなり、需要の増加から金価格の上昇につながりやすくなります (出典: lseg.com)。
シカゴ連銀の分析では、長期実質金利が1%ポイント上昇すると金の実質価格は約13%下落するとの推計も示されており、実質金利が金価格の重要な説明変数であることが裏付けられています (出典: chicagofed.org)。
【データで見る】実質金利と金価格の美しい逆相関チャート
Longtermtrendsなどのデータでは、米10年国債の実質金利とドル建て金価格の推移を重ねたチャートが公開されており、両者の間に明確な逆相関が見られます (出典: longtermtrends.com)。
【金利と金価格の関係まとめ】
- 実質金利が高い時: 預金・国債の魅力が高まり、金は売られやすい。
- 実質金利が低い・マイナスの時: 利回り資産の魅力が低下し、金は買われやすい。
近年、その関係性が崩れている?中央銀行の買いが新常識に
実質金利と金価格って、ずっと逆相関なんですよね?最近はそうでもないって聞くけど、なぜですか?
実は、過去のパターンが常に当てはまるわけではないんです。2022年以降の動きを見ると、新たな要因が加わっていることが見えてきますよ。
2020年〜2023年にかけて、米国の実質金利は大きく上昇しました。過去の理論に基づけば、金価格は大幅に下落するはずです。しかし、実際には金価格は高値圏を維持し、過去のような大幅な下落は観測されませんでした。
この背景には、西側投資家が金ETFを売却する一方で、中国やインドなどの新興国中央銀行が、米ドルへの過度な依存を避ける目的で、大量の金を買い増しているという構図があります (出典: seekingalpha.com)。
今回の調査で最も印象的だったのは、実質金利と金価格の伝統的な逆相関が、中央銀行の金買いという新たな要素によって「変質」しているという点です。これは、金投資を考える上で、単純な相関関係だけでなく、より多角的な視点が必要になっていることを示していると感じました。
実質金利が金価格を動かすメカニズムまとめ
- 実質金利とは:銀行金利(名目金利)から物価上昇率(インフレ率)を引いた「お金の本当の値打ち」。
- 逆相関の法則:実質金利が下がると、利息のない金の魅力が相対的に高まり、価格は上がりやすくなる。
- 新常識:近年は新興国中央銀行の「爆買い」により、金利が高くても金が下がりにくい特殊な局面も生まれている。
【実例で学ぶ】歴史的危機で「有事の金」はどう動いたか?
「有事の金」って言葉はよく聞くけど、本当に戦争や災害が起きると金価格は上がるんですか?
実は「有事」の捉え方と、金価格の動きには少しタイムラグがあるんです。危機直後と、その後の金融政策フェーズで動きが変わる傾向があります。
金は古くから「有事の金」と呼ばれ、戦争や金融危機、パンデミックなどの不確実性が高まる局面で、安全資産として買われやすい傾向があります (出典: documents1.worldbank.org)。ここでは、過去の主要な「有事」において、金価格が実際にどのように動いたかを具体的に見ていきましょう。
ケース1:2008年リーマン・ショック
初期は他資産と共に下落(現金化パニック)
2008年9月のリーマン・ブラザーズ破綻という未曽有の金融危機の直後、世界の株式市場が暴落する中で、金価格も一時的に約30%急落しました。これは、投資家が保有資産を問わず現金化を急いだ「現金化パニック」や、証拠金取引のマージンコールに対応するための「全資産売却」によって引き起こされたと考えられています (出典: quantumamc.com)。
その後の金融緩和で歴史的上昇へ
しかし、各国中央銀行が大規模な金融緩和策(ゼロ金利政策、量的緩和など)を打ち出すと、状況は一変します。インフレ懸念や法定通貨への不信感から、金は安全資産としての魅力を大きく高め、2008年後半の安値から2011年のピークにかけて、2倍以上という歴史的な上昇を記録しました。
ケース2:2020年コロナショック
やはり初動は下落、しかし回復は早かった
2020年2月〜3月のコロナショック初期も、リーマン・ショックと同様に、株式市場の急落と同時に金価格も一時的に約12〜13%下落しました。これも、世界的な流動性危機における「全資産の現金化」が原因とされています (出典: digitalcommons.lib.uconn.edu)。
ゼロ金利+財政出動で史上最高値へ
しかし、この時もFRBをはじめとする各国中央銀行が迅速に大規模な金融緩和と財政出動を実施。これにより、金は再び安全資産としての需要を高め、2020年初めの約1,550ドル前後から8月初旬の2,000ドル超まで、約30%前後の上昇となり、史上初めて1オンスあたり2,000ドルを超える高値を記録しました。(出典: liquidityfinder.com)。
教訓:「有事の金」は危機直後より、その後の金融政策で輝く
【体験談】リーマンショックとコロナショックから得た教訓
2008年から金に投資している個人投資家
「2008年のリーマン危機で、”安全資産のはずの金”も最初の現金化パニックで急落し、恐怖で売ってしまった。しかし、その後のQE(量的緩和)で金が2倍以上になったのを指をくわえて見ていた。この経験から、2020年のコロナ危機では3月の急落を”流動性パニック”と割り切り買い増し、8月の2,000ドル超えで利益を出すことができた。「有事=即金高」ではなく、「ショック初期の現金化→その後の金融緩和とインフレ期待」というプロセスを理解することが重要だと痛感した。」という趣旨の体験談 。
【教訓】: 有事の金は、危機直後ではなく、その後の金融緩和フェーズで本格的に上昇する傾向がある。
【有事の金 まとめ】
- 危機初期: 現金化パニックで、金も一時的に下落することが多い。
- 危機中期〜後期: 大規模金融緩和策により、安全資産として上昇する。
- 重要な視点: 「有事」発生時だけでなく、その後の金融政策の動向を注視することが重要。
今回の調査で、個人投資家が抱きがちな「有事=即金高」というイメージと、実際の市場の動きにギャップがあることを改めて認識しました。
特に、リーマンショックとコロナショックにおける「最初のパニック売り」と「その後の金融緩和による上昇」というパターンは、金投資のタイミングを考える上で非常に重要な教訓です。


金価格の歴史に関するよくある質問(FAQ)
- Q1: なぜ1971年のニクソン・ショックで、金の価格は上がったのですか?
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A1: それまで「1オンス=35ドル」という国家間の固定価格に縛られていた金が、市場で自由に取引できるようになったためです。ドルへの信認が揺らぎ、多くの投資家が金に資金を移した結果、需要が急増し価格が上昇しました。
- Q2: 「実質金利」が下がると、なぜ金価格は上がるのですか?
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A2: 実質金利が下がる(特にマイナスになる)と、銀行預金や国債など利息が付く資産の実質的なリターンがインフレによって目減りします。一方、金は利息を生まないため、相対的に「価値が目減りしない資産」としての魅力が高まり、買われやすくなるためです。これを「機会費用」の観点から説明できます。
- Q3: 「有事の金」と言いますが、危機が起きると必ず金は上がりますか?
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A3: 必ずしもそうとは言えません。リーマン・ショックやコロナショックの初期段階では、全ての資産が現金化されるパニック売りで金も一時的に下落しました。本格的に上昇するのは、その後の大規模な金融緩和(利下げや量的緩和)が始まってから、というパターンが多く見られます。
- Q4: 金本位制とブレトン・ウッズ体制の最も大きな違いは何ですか?
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A4: 金本位制では各国通貨が直接「金」に裏付けられていましたが、ブレトン・ウッズ体制では各国通貨は「米ドル」に、その米ドルだけが「金」に裏付けられていました。いわば「ドルを介した金本位制」であり、一般の個人や企業が直接金に交換することはできませんでした。
- Q5: 今後、金本位制に戻る可能性はありますか?
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A5: 多くの専門家は、その可能性は極めて低いと考えています。現代の経済規模に対して金の量が少なすぎ、経済成長に合わせて柔軟に通貨供給量を調整することができなくなるためです。
- Q6: 金の価格はどこで見ることができますか?
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A6: 国内では田中貴金属工業や三菱マテリアルなどの地金商が公表する「小売価格」が一般的です。国際的な指標としては、ロンドン市場やニューヨーク市場(COMEX)の先物価格が24時間変動しており、多くの金融情報サイトで確認できます。
編集部まとめ:金価格の歴史から、私たちが学ぶべきこと
この記事では、金(ゴールド)が持つ本質的な価値から、ブレトン・ウッズ体制やニクソン・ショックといった歴史的な転換点、そして現代の金価格を動かす最重要ファクターである「実質金利」や「有事の金」のメカニズムまで、多角的に解説してきました。
金(ゴールド)と賢く付き合うための3つの指針
指針1:短期的な価格変動に惑わされない
金価格は、実質金利や地政学リスク、さらには中央銀行の動向など、様々な要因で日々変動します。短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、長期的な視点でその本質的な価値を見極めることが重要です。
指針2:「実質金利」の動向を常にチェックする
ニクソン・ショック以降、金価格と最も強い相関関係を持つのが「実質金利」です。特にインフレ率を加味した実質的なリターンを把握することで、金が相対的に魅力を増す局面、あるいは低下する局面を判断する大きな材料となります。
指針3:資産防衛の「保険」として長期保有を検討する
金は、株式や債券とは異なる値動きをする傾向があり、ポートフォリオのリスク分散効果が期待できます。特にインフレや金融不安が高まる局面では、実物資産である金が「価値の保存手段」として機能してきた歴史があります。短期的な利益を追うのではなく、「有事の備え」としての役割を理解し、長期的な資産防衛の一環として保有を検討しましょう。
金価格の歴史と変動要因を深掘りすることで、投資対象としての金に対する理解が格段に深まりました。
特に、実質金利の重要性と、中央銀行の金買いという新たな潮流は、今後の金価格の動向を占う上で欠かせない視点です。
- 日本の金輸出の歴史|黄金の国ジパングの真実と貨幣制度の変遷
かつて「黄金の国」と呼ばれた日本の産金・輸出の歴史や、貨幣制度の変遷を詳しく知りたい意図。 - 金価格暴落の歴史|1980年の急落と転換点をチャートで徹底解説
過去の暴落や転換点をチャートで振り返り、当時の要因と比較しながら相場変動の理由を分析したい意図。


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